今までに、うつ病に関して様々な物質が指標の候補として挙げられてきましたが、ほとんどが臨床的に使用するには証拠が不十分な内容でした。
今回は、血液よりは直接的に脳内の状態を反映すると思われる脊髄液内の物質に関して、うつ病の指標となり得る物質を調べた研究のまとめ(メタ・アナリシス)をご紹介します。
Cerebrospinal Fluid Biomarkers in Patients With Unipolar Depression Compared With Healthy Control Individuals
A Systematic Review and Meta-analysis
脊髄液内の物質とうつ病との関連を調べた97本の研究が、分析の対象となりました。
結果として、以下の内容が示されました。
・うつ病の場合に健常者と比較して、インターロイキン6、総蛋白量、コルチゾールは高くなっていました(例:インターロイキン6については7本の論文で指摘、健常者との相違の目安となるSMD=0.35)。
・うつ病の場合に健常者と比較して、ホモバニリン酸、ガンマアミノ酪酸、ソマトスタチン、脳由来神経栄養因子、アミロイドβ40、トランスサイレチンは低くなっていました(例:ホモバニリンについては17本の論文で指摘、SMD=-0.26)。
要約:『うつ病に関して様々な物質の健常者との違いが指摘されているが、必ずしも結果は一貫していない』
これらの物質異常から、ドーパミン系の調節異常や視床下部から始まる神経・ホルモン系の異常、神経の炎症等、様々な原因が想定されるものの、一貫した原因を指摘するのが難しい段階であると考えられました。
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