通常、「脳梗塞後遺症」と言われる病態を含む脳の血管障害に伴う機能低下は、主として発作後に生じると考えられています。
しかし、「後遺症」と限定しないならば、広い意味での機能低下は発作よりずっと前から起こっているようです。
発作前後の認知や動作機能の長期的低下
1990年から2016年にかけて行われた大規模な調査 Rotterdam Study(14,712人の参加者)のデータを元に分析が行われました。
繰り返し、各種の主要な認知機能検査: Mini-Mental State Examination (MMSE), 15-Word Learning, Letter–Digit Substitution, Stroop, Verbal Fluency, Purdue Pegboardや日常生活でどのくらい動作ができているか(BADLやIADLと呼ばれる動作の機能)を評価しました。
結果として、参加者のうち1,662人が初めての発作(脳血管イベント)を期間中に起こしましたが、これらの人たちは、発作がおこる10年程度前から、発作を起こさなかったグループに比較して多くの尺度で低下が目立っていることが分かりました。
例えば、よく使用される認知症の尺度(MMSE)では平均6.4年、日常的動作では3.8年前から明らかな低下を認めていました。
つまり、“脳梗塞等の発作を起こす人では、発作後だけではなく、10年程度前から明らかな機能低下が進行している”と言えそうです。
できるだけ長期的な生活習慣を見直して危険因子を減らす工夫が大切であると思われました。
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