昨日ご紹介した論文は、検査にも様々なものがあり、その性質を理解して目的によって使い分けることが重要であることが確認できる内容でした。
もちろんそのような目的↔検査の性質の合致も大切ですが、一方に経済的(環境的)な制限も考慮しなければ、そもそも実施することが不可能であることも少なくありません。
そのような視点で考えると、脳波検査は検査器具も安価で、安静を保てるベッドと静かで照明が調整できる環境があれば良く、今まで言われてきたよりもずっと多くの情報が得られることが示されつつあり、コストパフォーマンスに優れた検査であると思われます。
今回は、脳波を用いた検査でPTSDの特徴を明らかにしようとした研究をご紹介します。
脳波からみたPTSDにおける神経接続の特徴
PTSDの診断基準を満たす106人と比較対照としての健常者95人が調査の対象となりました。
開閉眼や認知機能を調べる検査(検者の言った数字の列を真似して唱える等)を行った時の脳の様子を調べ、各所の神経接続の様子を捉えようとしました。
結果として以下のような内容が示されました。
①健常な状態に比較して74箇所で神経接続の低下を認めました。
②脳の「眼窩回」と「前中頭回」と呼ばれる部位の接続低下が特に顕著でした。
③「背側注意系」、「前頭頭頂抑制系」、「腹側注意系」(系の名称は直訳)を含む25の部位で機能検査を行った時の反応が異なっていました。
上記のように、PTSDにおいては脳波検査上でも多くの特徴があることが見いだされました。
このような特徴が疾患独自のものかは分からず、診断的価値は不明ですが、今後、さらに証拠を重ねることにより、安価に実施できる客観的検査として参考になる可能性があるように思われました。
#PTSD #脳波検査
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