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脳深部刺激の有効性を予測する

執筆者の写真: もりさわメンタルクリニックもりさわメンタルクリニック

治療抵抗性うつ病に対する脳深部刺激(特に梁下帯状皮質: subcallosal cingulateという部位に対する刺激)が有効であることが指摘されてきました。


しかし、有効性には幅があり、どのような例に有効性が高いのか予測が難しい点が問題でした。


今回は、術中に記録された脳波を用いて、この予測を行う方法を検討した論文をご紹介します。


術中の神経活動により深部脳刺激の早期抗うつ効果を予測する


治療抵抗性うつ病の8人が深部脳刺激を行うための手術を受け、術中に神経活動の記録を行いました。


神経活動を示す脳波(シータ:4–8 Hz 、アルファ:9–12 Hz、ベータ:13–30 Hz)を分析し、1週間後の症状経過との関連を調べました。


結果として、以下の内容が分かりました。

①術中刺激の後、1週間で平均45.6%のうつ症状改善(ハミルトンうつ病尺度17項目で評価)を認めました。

②術中に測定された刺激による、帯状皮質におけるベータ波の減少が、治療効果の大きさと関連していました。


つまり、“脳深部刺激の術中に確認できる脳波の変化により、その後のうつ症状改善が予測できるかもしれない”ということです。


最も、脳波の変化が大きい方法を選ぶことにより、刺激の仕方の最適化につながる研究結果であると思われました。

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