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執筆者の写真もりさわメンタルクリニック

脳血管障害の初期症状について


脳血管障害について、実際に発作的な症状(脳梗塞や脳内出血のイベント)が起こるまで気づきにくい場合が多いと思われます。


今回は、明らかな神経症状を伴うイベントが起こる以前にどのような症状があるのか、多数の論文を分析した研究についてご紹介します。


脳内微小血管病変と神経精神医学的兆候の関連


脳血管病変と不安や無気力・せん妄・気分変動・疲労感・性格変化・精神病症状等との関連を調べた論文を検索し、7119の論文が条件に一致しました。


上記のうち、基準を満たす81の研究(21,730人の参加者、平均69.2歳)が分析に含まれました。


結果として、以下の内容が示されました。

①脳血管の病変を示す脳白質の所見:white matter hyperintensity (WMH)の重症度と無気力、せん妄(精神病症状を伴う意識状態の変動)、疲労感が関連していました。

②主観的な記憶障害は脳内病変と関連していませんでした。その他、不安や認知症関連行動障害、気分変動等は相違が大きく、資料も少なかったため、信頼に足る結果を得られませんでした。


つまり、「最近忘れっぽくなった」等はあまり関係がないけれど、「全てにやる気が起きない」、「疲れやすくなった」等は脳血管病変の兆候として要注意のようです。


せん妄以外は漠然とした症状で、うつ病などの機能的な問題として考えてしまいそうですが、一応脳血管病変の可能性を考えて画像的評価を経時的に行う等の対応を検討するべきであると思われました。

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