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執筆者の写真もりさわメンタルクリニック

自殺に関する傾向の遺伝的・環境的要因の割合について


精神疾患の中には遺伝的な原因が指摘されるものがありますが、そもそも症状の寄せ集め(症候群)を病名として用いており、その原因を特定するのも困難である場合が多いようです。


今回は、自殺企図や自殺という現象(症状)について、双子や両親が同一の兄弟・親の一方だけが共通の兄弟を調べることによって、遺伝的影響力の大きさを調べようとした研究をご紹介します。


自殺に関する傾向の遺伝的・環境的要因について


スウェーデンの研究で、1960~1990に生まれた双子、兄弟(両親共通あるいは一方のみ共通)計1,314,990人が対象となりました。


上記のように血縁の度合いの異なる個人で起こる現象を比較することにより、遺伝や環境が自殺に影響する度合いを調べました。


結果として以下の内容が示されました。

①男女とも、ある程度(関連が大きいとは言えないがないとは言えない範囲)の遺伝的影響がありました。(自殺企図について女性で、遺伝的影響力の目安additive genetic variance component [A]=0.52、男性でA=0.41)

②若年でのイベント発生の方が遺伝的要素が大きくなっていました。(10~24歳でA=0.55–0.62、25歳以上でA=0.36–0.38)


つまり、“自殺企図や自殺は、遺伝的背景があって発生する可能性がある”と言えそうです。


精神症状の多くがそうであるように、自殺についても様々な要因が合わさって生じ、性別や年代によってもその影響力は違うようです。

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