今回は、多数の論文の分析から、様々な自殺の予防策について検討した研究をご紹介します。
医学的証拠に基づく自殺予防の改善
2005~2019年に発表された20,234の研究が分析の対象となり、そのうち97は比較的医学証拠の信頼性が高いとされるランダム化比較試験の方法を採用していました。
非常に大まかに方法を分類すると以下のようになります。
・有効か、有効である可能性が高いもの
⇒一般医師に対するうつ病と自殺に関する教育、若者へのうつ病と自殺企図に関する教育、退院後や自殺企図後の積極的アウトリーチ(訪問など)、抗うつ薬による治療、認知行動療法、弁証法的行動療法、銃の規制など方法の制限
・有効であると証明できないもの
⇒一般的なうつ病のスクリーニング以上に積極的に希死念慮について尋ねること、ゲートキーパーへの自殺に関する教育
・検証されていないもの
⇒ケタミンの静脈注射、電子カルテのアルゴリズムチェック、インターネット上のスクリーニング、スマートフォンを介した高リスク者のモニタリング
上記の結果からすると、有効性が高い方法として、医学教育や一般の学校教育に自殺予防に関する項目を含んだり、退院後の訪問を強化する等が望ましいと思われました。
Comments