◎要約:『自殺による死亡者には、共通する傾向に応じていくつかのクラスがあり、身体疾患を主とするクラスは、他とは異なる特徴を持っているかもしれない』
今回は、自殺による死亡者の資料を用いて、特徴や自殺意図の表現について調べた研究をご紹介します。
Decoding Suicide Decedent Profiles and Signs of Suicidal Intent Using Latent Class Analysis
自殺者の特徴と自殺意図の表現
2003~2020年の死亡者に関する資料(National Violent Death Reporting System Restricted Access Database )を元にしており、306,800人の自殺による死亡者が調査の対象となりました。
結果として、死亡者の類型は以下のようになっていました。
・クラス1(13.5%):精神疾患と物質使用の問題がある場合
・クラス2(17.6%):精神疾患がある場合
・クラス3(18.0%):危機的状況、アルコール関連、パートナーの問題がある場合
・クラス4(31.7%):身体的疾患の影響が大きい場合
・クラス5(19.2%):複数の物質障害をもっている場合
上記のうち、以下のような内容が示されました。
・クラス4は、最も自殺の意図を表現せず(クラス1に比べてオッズ比2.58倍)、遺書を残さない(クラス1に比べてオッズ比1.45倍)傾向がありました。
・クラス4は、最も精神疾患が少なく、向精神薬を服用していない傾向がありました。
・クラス4は、比較的高齢で(55~70歳が24.5%、70歳以上が20.7%)、退役軍人(22.9%)、未亡人(8.9%)、高卒未満(16.1%)、非都市部の居住者(24.7%)が多くなっていました。
それぞれのクラス(類型)に応じて、自殺予防の対策も異なると思われました。
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