自閉症スペクトラム障害があると、ない場合に比較して自殺する割合が高まるのではないかということが言われてきました。
今回は、少し以前の論文になりますが、この点に関して保険情報を使って調べた研究をご紹介させてください。
自閉症スペクトラム障害を伴う思春期/若年成人の自殺リスク
台湾における全国の保険情報データベースを用いた研究で、自閉症スペクトラム障害を伴う12~17歳/18~29歳の合わせて5,618人について調べました。
結果として、以下の内容が示されました。
①自閉症スペクトラム障害がある場合のほうが、ない場合に比較して自殺のリスクが高くなっていました。(3.9% vs 0.7%)
②調べた年齢グループと追跡期間については、後年になる方が自殺のリスクが高まっていました。
③うつや双極性障害、物質関連障害等の合併症は対照のグループより多くなっていましたが、これらの要因を調整した後でも、自閉症スペクトラム障害において自殺のリスクが高い傾向は変わりませんでした。
つまり、2次障害の有無に関わらず、自閉症スペクトラム障害自体が自殺のリスクとなり、それは思春期から青年期となるにつれて高くなるということが言えそうです。
上記で示されているリスクの差は臨床的にも意味のある数値であるように思われ、また、(実際の理由ははっきりしませんが)社会性に関する要求水準が高くなる青年期の自殺リスクに関してより注意が必要であると思われました。
#発達障害 #自殺
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