
循環器系のリスクを評価するLife’s Simple 7(以下、LS7)という評価尺度があります。
LS7の項目として、以下のようなものがあります。
①血圧の管理 ②コレステロールのコントロール ③血糖の管理 ④活動性(運動) ⑤健康的な食事(野菜や果物摂取等) ⑥体重の管理 ⑦喫煙の中止
以上のような項目で高評価だと、循環器疾患だけではなく、認知症のリスクも低いことが指摘されています。
今回は、アルツハイマー病になりやすい遺伝的な特徴がある場合にも、このような良い生活習慣が有効なのか調べた研究をご紹介します。
動脈硬化リスクの研究対象における、遺伝的リスク、中年期のLS7と認知症発症の関連
1980年代から行われた動脈硬化リスクの研究を元にしており、8,823人のヨーロッパ系アメリカ人と2,738人のアフリカ系アメリカ人(研究開始時点で平均54歳)を対象としています。
アルツハイマー病になりやすいとされている遺伝的特徴とLS7の評価、アルツハイマー病のリスクとの関連を調べました。
結果として、以下の内容が示されました。
①アルツハイマー病になりやすい遺伝的特徴のあるグループではアルツハイマー病のリスクが高くなっていました(ハザード比1.44倍)。
②アルツハイマー病になりやすい遺伝的特徴のあるグループでも、LS7が高い(生活習慣の良い)場合には、アルツハイマー病のリスクは低くなっていましたハザード比0.91倍)。
つまり、“遺伝的にはアルツハイマー病になりやすい特徴を持っている場合でも、中年期の生活習慣を改善することでアルツハイマー病のリスクを下げることができるかもしれない”ということです。
自分のアルツハイマー病に関する遺伝的特徴ははっきりしませんが、少なくとも日々の生活習慣の改善には意味があることが分かりました。
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