思春期以前の若年者に対しては心理療法(認知行動療法)に抗うつ薬を加えても、心理療法のみと比較して大きなメリットがないという指摘があります(The addition of fluoxetine to cognitive behavioural therapy for youth depression (YoDA-C): a randomised, double-blind, placebo-controlled, multicentre clinical trial)。
今回は、かなり以前(2016年)の論文になりますが、思春期以前の若年者に対して、多くの種類の抗うつ薬の効果を調べたメタ・アナリシス(複数の論文を分析・統合して、より信頼性の高いデータを得ようとした研究)をご紹介します。
うつ病の子どもや思春期の若者における抗うつ薬の有益性や忍容性の比較
2015年3月までのうつ病急性期の思春期以前の若年者を対象とする論文を検索して、34の論文(5260人の参加者、14種の抗うつ薬)が分析に含まれました。
結果として、以下の内容が示されました。
①フルオキセチン(日本では未承認)以外の薬剤は明らかな有効性を示していませんでした。
②デュロキセチン、ベンラファキシン、イミプラミン等の他の抗うつ薬は、フルオキセチンよりも副作用による中断が多くなっていました。
つまり、多くの抗うつ薬は中等症以上のうつ病に罹っている思春期以前の若年者に対して、(少なくとも平均的には)大きな効果を認めない、ということのようです。
子どもや若者のうつ病(操作的診断基準の“大うつ病エピソード”)に対しては、成人以降の治療とは異なった治療方針の検討が必要であると思われました。
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