頭痛や腰痛を始めとする身体的な痛みから、鎮痛薬や抗不安、アルコール乱用に陥ることは少なくありません。
一つの例として、元々は痛みに対する対処だったものが、耐性の形成(薬物の効果減弱)が生じて使用量が増し、適切な使用法から大きく逸脱することがあり得ます。
今回は、痛みに対する心理社会的治療がどのように痛みのコントロールや依存症の治療に役立つのか調べた研究をご紹介します。
痛みへの心理社会的治療がもたらす物質使用障害と慢性疼痛への効果
物質関連障害(薬物やアルコール依存症)と慢性に経過する痛みを伴う510人(平均34.8歳)が対象となりました。
男性133人と女性122人が痛みに対する心理社会的な治療:Improving Pain During Addiction Treatment (ImPAT)を行い、その他の人に対しては依存症や栄養に関する一般的な研修を行いました。
それぞれ8回のセッションを行い、その後12か月にわたって経過を観察しました。
結果として、以下の内容が示されました。
①疼痛のコントロールに関しては心理社会的な治療を特別に行ったグループの方が、12か月後の経過も良好となっていました。
②物質使用の程度(依存症の症状)自体は、特別な心理社会的な疼痛治療と一般的な研修との違いは明らかではありませんでした。
つまり、痛みに対する非薬物的な対処の仕方を身に着ける心理社会的な治療を行えば、確かに長期にわたって疼痛コントロールは改善するが、物質使用そのものの改善は明らかではない、ということになります。
痛みの改善が長期に渡ってもたらされるのならば、患者さんにとってのメリットはありそうに思えます。今後は、より物質の種類などで焦点を絞った確認が必要であるように考えました。
#薬物依存
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