高血圧や喫煙などの動脈硬化を促進する危険因子(リスクファクター)が認知症の発症に大きく関係していることは、以前から知られています。
今回は、実年齢と脳白質年齢とのギャップ、認知機能の関連を調べた研究をご紹介します。
脳血管への負荷に関する指標としての脳白質年齢の有用性
UK Biobankの大規模データを用いた研究で、37,000人の画像検査(拡散強調画像)の結果を含んでいます(3400人が脳の異常について訴えあり)。
画像検査の結果を機械学習のしくみを用いて分析し、脳白質の年齢と実年齢とのギャップ(WMBAG)を計算しました。
結果として、以下のことが示されました。
①高血圧や糖尿病などの血管に対する危険因子とWMBAGの大きさとは関連を示しており、危険因子がない場合には実年齢より平均半年間、脳の年齢が若くなっていました。
②危険因子が増えるごとに、WMBAGが徐々に大きくなっていました(危険因子の数が、1→2→3個で、WMBAGが-0.02 →0.64→1.29と変化していました。
③WMBAGは処理速度・遂行機能・全般的認知機能との関連を示していました。
つまり、“脳白質の老化を示すWMBAGは、血管の危険因子や認知機能との関連を示す”と言えるかもしれません。
WMBAGに関しては情報の処理にも大きなコストが発生しそうなので、手軽に入手できる指標とは考えにくいのですが、脳白質の状態を客観的に把握するためには有用であると考えられました。
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