◎要約:『躁うつ病に対する電気けいれん療法と磁気けいれん療法の効果はほぼ同等で、認知機能に関する副作用は磁気けいれん療法では少ないかもしれない』
治療抵抗性うつ病に対する治療の選択肢として、(実施件数は非常に少ないですが)電気を用いたけいれん療法(修正型電気けいれん療法、以下ECT)が検討されることがあります。
海外では、磁気を用いたけいれん療法(磁気けいれん療法、以下MST)が検討されることがあり、施術後の認知機能に関する副作用がECTよりも少ないことが知られています。
今回は、躁うつ病に対して、ECTとMSTを比較した研究をご紹介します。
Magnetic Seizure Therapy vs Modified Electroconvulsive Therapy in Patients With Bipolar Mania
A Randomized Clinical Trial
躁うつ病の患者に対する磁気けいれん療法と修正型電気けいれん療法
躁うつ病の患者42人が参加し、20人がECTグループ(平均31.6歳、男性12人)、22人がMSTグループ((平均34.8歳、男性15人)に振り分けられました。
結果として、以下の内容が示されました。
・半分以下への症状軽減を「反応」として、ECTの反応率は95%、MSTでは86.4%でした。
・両者のグループで、躁うつ病の症状尺度(YMRS)の減少率や反応率について、明らかな差はありませんでした。
・ECTグループでは、施術後に言語機能の低下を認めましたが、MSTでは認めませんでした。
両者とも、静脈麻酔薬、筋弛緩薬等による処置が必要なので、通常の精神科・心療内科医療施設での実施は困難と思われますが、今後、副作用の少なさからMSTの方がECTよりも実施に対する抵抗感が少なくなる可能性も考えられました。
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