◎要約:『イロペリドンは躁状態の改善に有効で、重篤な副作用は少ない可能性がある』

今回は、非定型抗精神病薬に分類されるイロペリドンの躁状態に対する有効性を調べた研究をご紹介します。
Efficacy and Safety of Iloperidone in Bipolar Mania: A Double-Blind, Placebo-Controlled Study
双極症の躁状態に対するイロペリドンの有効性と安全性
アメリカの27施設を含めて行われた多施設、ランダム化比較試験で、双極症の診断を受けている成人が対象となりました。
合計414人に対して、イロペリドンまたは偽薬を投与し、躁状態の改善や全体の精神状態の変化を4週間の経過で観察しました。
結果として、以下の内容が示されました。
・イロペリドンは偽薬よりも明らかに、躁状態の尺度(YMRS)や全体的な精神状態に関して、大きな改善を示していました。
・躁状態の尺度(60点満点、高得点ほど症状が重度)における違いは、-4.0点となっていました。
・頻度の高かった副作用としては、頻脈、めまい、口渇、肝酵素上昇、鼻閉、体重増加、眠気がありました。
現在でも様々な抗精神病薬が躁状態の治療に用いられていますが、新しい選択肢であるイロペリドンの有効性と安全性について参考となる内容でした。
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