軽度・重度のうつ病による循環器疾患のリスク

うつ病と循環器疾患との関連はしばしば指摘されてきました。
今回は、アメリカの大規模な調査データを用いた、軽度~重度のうつ病による循環器疾患のリスクを調べた研究をご紹介します。
うつと循環器疾患の10年間・生涯リスク
アメリカの調査(National Health and Nutrition Examination Survey)を元にした研究で、20~39歳の10,588人、40~79歳のの16,848人を対象としています。
頻用される精神状態の尺度(Patient Health Questionnaire-9: PHQ-9)を用いて、うつの程度と循環器疾患のリスクとの関連を調べました。
結果として、以下の内容が示されました。
①40~79歳の対象者について調べた10年間の循環器疾患(アテローム性動脈硬化による循環器疾患)のリスクは、女性でうつ病なし6.0%、軽度のうつ6.9%、重度のうつ7.6%、男性でうつ病なし9.9%、軽度のうつ11.1%、重度のうつ11.3%となっていました。
②20~39歳の対象者について調べた循環器疾患の生涯リスクは、女性でうつ病なし41.9%、軽度のうつ53.2%、重度のうつ66.5%、男性でうつ病なし53.3%、軽度のうつ64.8%、重度のうつ74.4%となっていました。
つまり、“循環器疾患のうつによる影響は、男女や広い年代を通して、うつの程度が重度であるほど大きくなる傾向がある”と言えそうです。
必ずしも診断を受けている「うつ病」ではなくとも、うつの状態と循環器疾患のリスクが関連している様子が伺えました。
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もりさわメンタルクリニック 森澤 巌
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