ある目的を遂行するために様々な機能を統合する能力について、“遂行機能”という言葉が使われます。
PTSDでは遂行機能の障害が生じ、他の症状にも影響を与えているのではないかと言われています。
今回は、PTSDの症状と遂行機能障害との関連を1年間の経過で調べた研究をご紹介します。
遂行機能障害によりPTSDの症状が悪化する
PTSDに罹患している成人98人が対象となり、遂行機能障害と症状の経過を、研究開始: T1、6ヶ月後: T2、1年後: T3で調べました。
結果として、以下のことが示されました。
①T2における遂行機能障害が、T3のPTSD症状の維持に影響を与えていました。
②T2におけるPTSD症状は、T3の遂行機能障害には影響を与えていませんでした。
つまり、“遂行機能障害はPTSD症状悪化の促進要素となっており、その逆ではない”と言えそうです。
遂行機能障害がPTSD症状の維持に関わっており、単独で治療の対象となる症状である可能性が示されていました。
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