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遅くに発症したけいれん発作は認知症の前兆か?

執筆者の写真: もりさわメンタルクリニックもりさわメンタルクリニック

認知症の方の訪問診療をしていて、時々てんかんの既往もないのにけいれん発作をおこされる方をみます。


教科書的には、外傷・腫瘍・感染・脳卒中等の別の疾患があった上での“続発性”のてんかんを考えるところですが、なんの原因も見当たらないことにも遭遇します。


以上は、既に認知症を発症されている人の例ですが、中年期以降に特に原因は分からず、てんかん発作を起こす例は健常者の中にもあり、今回ご紹介する論文中では、“後年発症の原因不明のてんかん late-onset unprovoked seizures of unknown etiology (LOSU)”と特徴づけて、認知症との関連を調べています。


後年発症の原因不明のてんかんと認知症発症との関連


退役軍人292,262人(平均73歳)が調査の対象となりました。


人口統計学的な要素や循環器系のリスク、うつ症状、脳外傷等、認知症発症への影響が考えられる要因は排除して、なるべく純粋にてんかんの影響を検討するようにしました。


結果として、後年の原因不明のてんかん発作があった場合には、ない場合に比較して1.89倍認知症になりやすい傾向(認知症が発症するまでおよそ2年)が示されました。


てんかん発作の原因が分からないだけで、本当は重要な背景があり、それが認知症を引き起こすのか、あるいはてんかん発作を起こすことが脳に何らかの機能障害を与えるのか等、仕組みに関しては不明です。


しかし、原因不明のけいれんを認めた場合にはその後の認知能力に関して注意深い観察は必要であると思われました。


#認知症



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