高齢者において日々の運動が認知機能低下を軽減するということが指摘されてきました。
今回は、特にタウ蛋白(アルツハイマー病で濃度が上昇する物質)との関連も含めて、運動による効果をみた研究をご紹介します。
タウ蛋白濃度と運動習慣・認知機能低下の時間経過に伴う変化
シカゴの大規模な調査 Chicago Health and Aging Projectの資料に基づく研究で、1159人(平均77.4歳)が対象となりました。
アルツハイマー病の指標となるタウ蛋白濃度の高/低のグループに分け、運動習慣の認知機能に対する影響を調べました。
結果として、以下の内容が示されました。
①タウ蛋白濃度が高いグループでは、運動習慣がほとんどない場合と比較して、中等度の運動習慣が58%、高度の運動習慣が41%、認知機能の低下を抑制していました。
②タウ蛋白濃度が低いグループでは、同様に中等度の運動習慣が2%、高度の運動習慣が27%、認知機能の低下を抑制していました。
つまり、“高齢者における中等度以上の運動習慣は、認知機能低下をゆっくりにしてくれるが、その程度はタウ蛋白濃度によっても異なるかもしれない”ということです。
“中等度の運動習慣”について計算してみると、1日に20分程度ウオーキング(散歩)すれば達成できそうな強度のようです。
すぐに分かる結果ではないかもしれませんが、生活に取り入れると認知機能に長期的に良い影響が出る可能性が高いと思われました。
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