定期的な有酸素運動等の運動習慣は不安やうつに対して予防効果があると指摘されています。
今回は、特に若者のうつに対して運動が有効であるか調べたメタ・アナリシス(複数の論文を分析・統合して、より信頼性の高い証拠を得ようとした研究)をご紹介します。
思春期のうつ症状に対する運動の効果
1982~2015年に発表された若年者のうつに対する運動の効果を調べた論文(アメリカ7、チリ1、イラン1、韓国1、イギリス1)が分析に含まれました。
参加者の数は19~779人(平均60人)、各研究の平均年齢は14.7~17歳となっていました。
すべての研究で介入は運動のみであり、運動は有酸素運動や筋力トレーニングを週3回、6~40週行っていました。
結果として、以下の内容が示されました。
①全体として運動を行っていたほうがうつ症状の改善を認めていました。
※このような時に2つのグループの差を示すのに使われるStandardised mean difference (SMD)(標準化平均差)は-0.48でした。
②二重盲検等という方法に限った結果では、運動の効果は明らかではありませんでした(統計的に意味のあるほど大きな差がありませんでした)。
※SMDは-0.41でした。
③うつ病の診断を受けている集団に限った結果では、明らかな差を認めていました。
全体として、比較的程度の重い(診断レベルの“うつ病”)であっても若者が定期的に運動を行うことには治療的な意味がありそうです。
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