うつや不安が強いときに下痢や便秘になったり、逆に腸の調子が悪い時に、精神状態が悪化する現象が認められます。
今回は、腹部症状の悪化に伴ってうつや不安が悪化する仕組みを調べた研究をご紹介します。
脈絡叢の血管バリアが腸の炎症で閉鎖する
マウスモデルを用いた研究で、腸で炎症が生じた時に、脳を守るために生じると思われる血管バリアの閉鎖が観察されました。
腸で細菌などによる炎症が起こると、様々な炎症による物質が産生され、全身の臓器に影響を及ぼすことがあります。
特に脳の髄液と血液との間に存在する脈絡叢という部位の血管において、これらの物質が脳に移行するのを防ぐ変化(血管バリアの閉鎖)が起こっていました。
論文中で議論されている内容から、この脳を守る仕組みが、本来正常な時に起こっている組織どうしの連絡を阻害してしまう可能性が考えられました。
人間の体において体の一部を守る仕組みが、全体のバランスを崩してしまう可能性を示しており、精神と体のバランスを保つ難しさを感じました。
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