従来、寿命を考えるとある程度のアルコール摂取は良い影響があると指摘されてきました。
しかし、脳の構造的変化の観点からは、“適度な”アルコール摂取は存在しないかもしれません。
脳の健康にとって安全なアルコール消費量はない
イギリスにおけるコホート研究と呼ばれる研究デザインの研究で、25,378人(平均54.9歳)が対象となりました。
アルコール消費量に関する質問やMRI検査が実施され、アルコール消費量と脳の構造(部分的体積)との関連が調べられました。
結果として以下の内容が示されました。
①脳の広い範囲で(灰白質、白質、局所の構造)で(消費が少量でも)アルコール消費量は脳体積と逆相関していました。
②他の交絡因子よりもアルコール消費量の影響は大きく、ワインやビール等、アルコールの種類による相違もありませんでした。
つまり、“アルコール摂取はどのような量であっても、脳の体積を減少させる影響がある”可能性が示されました。
アルコール摂取は、寿命や循環器系の機能についてはポジティブな面も指摘されていますが、脳の健康にとっては「適切な量」というものが存在しないのかもしれません。
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