疼痛緩和などの医療的目的の他、海外では娯楽目的に麻薬が長期にわたって使用されることがあります。
今回は、麻薬の使用が認知機能にどのような影響を与えるのか長期間の経過で調べた研究をご紹介します。
中年期における大麻の長期使用と認知機能・海馬の体積の関係
ニュージーランドのダニーデン(南島の中心都市)で1972~1973年に生まれた人から抽出された1,037人が研究の対象となりました。
麻薬の使用を18~45歳で計6回、IQを7~45歳で計4回、神経心理学的精査と海馬(脳の記憶に関連すると言われる部位)の体積測定を45歳で1回調べました。
結果として、以下の内容が分かりました。
①長期の麻薬使用者は、子ども時代から中年期の経過で、IQ平均-5.5点の低下を示していました。そして、この変化はタバコやアルコールの使用者ではないか、もっと小さくなっていました。
②長期の麻薬使用者では、海馬の体積がより小さくなっていました(しかし、統計的に認知機能低下の介在要因とはなっていませんでした)。
つまり、“麻薬を長期にわたって使用していると、他の物質使用では説明できない認知機能低下と海馬の体積減少を来す可能性がある”と言えそうです。
麻薬の使用が拡大しており、精神機能に対する長期的影響について、懸念される要素があると思われました。
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