◎要約:『孤独になりやすい環境下において、高齢者に対する電話を用いた行動活性化は、精神状態を改善する効果があるかも知れない』
COVID-19によるパンデミックで行動制限が行われた際に、対人的交流を含む活動の低下が精神状態に大きな影響を与える可能性が指摘されてきました。
今回は、パンデミック期間中の高齢者に対して、行動活性化を内容として含む電話を用いた介入でどのような効果があったのかを調べた研究をご紹介します。
Behavioural activation to mitigate the psychological impacts of COVID-19 restrictions on older people in England and Wales (BASIL+): a pragmatic randomised controlled trial
COVID-19による制限の影響を緩和するために高齢者に対して行った行動活性化
2021年2月から2022年2月までのパンデミック期間中の高齢者(平均75.7歳)を対象としています。
対人交流を含む活動を促進する内容の行動の活性化を電話を介して行い(最大8回)、精神状態の尺度(PHQ-9)を用いて、影響を調べています。
結果として、以下の内容が示されました。
・3ヶ月の経過で電話での行動活性化を行ったグループ(218人)では、通常のケアのみだったグループ(217人)に比べてPHQ-9の尺度が低くなっていました( –1·65 ,95% CI –2·54 to –0·75, p=0·0003)。
・介入の副作用と思われる影響はありませんでした。
実際の対面を含むカウンセリングではなくても、このようなアプローチが高齢者の精神状態に対して一定の効果をもたらす可能性を示していました。
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