午前中に比較的強い光線を浴びることにより、季節性うつ等のサーカディアンリズム(概日周期)と関連する症状が改善することが知られています。
また、せん妄という認知症や手術後の特殊な環境で合併することの多い、意識の変動を伴う病態では、昼間の覚醒を促すため、特に午前中に日差しのある環境で過ごすことが勧められます。
このように浴びる光線の量とタイミングは、人間の精神に大きな影響を与えます。
今回は、脳の軽度外傷後、ブルーライトを用いることによって脳の回復が促進されるか調べた研究をご紹介します。
脳の軽度外傷後にブルーライトを用いることによる睡眠・脳の構造的回復・機能・認知への効果
軽度の頭部外傷を受傷した32人の成人(18~48歳)が調査の対象となりました。
毎朝30分、周波数を調整したブルーライトを6週間浴びたグループと偽の刺激として光線を浴びたグループとを比較しました。
結果として、ブルーライトのグループでは以下の傾向が示されました。
①睡眠のタイミングが前倒しになった。
②昼間の眠気が軽減した。
③遂行機能が改善した。
④視床後部の体積が増加していた。
⑤視床ー皮質間の機能的連携が向上していた。
上記のような反応は、光線による神経細胞の反応と推定されています。
頭部外傷の場合だけではなく、どのようなしくみで睡眠のリズムが乱れ、改善の糸口を見つけたら良いのか、大きなヒントになり得る研究であると思われました。
#睡眠障害
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