早期の逆境体験(不適切や養育や虐待など)が子どもの精神発達に影響を与え、その後の経過で多くの精神疾患を引き起こす可能性が指摘されてきました。
今回は特に養育に関する教育を親に対して行った場合に、子どもの精神発達がどのような影響を受けるのか、神経活動の背景から調べた研究をご紹介します。
子どもの母性関連刺激に対する脳の反応で調べた、養育態度に関する早期介入の効果
参加者68人(平均10.0歳)は、今後逆境関連の影響が出現しそうな(以後、“ハイリスク”と表記)子ども46人、対照としての“ローリスク”な子ども22人を含んでいました。
ハイリスクな子ども46人について養育に関する教育:具体的には“the Attachment and Biobehavioral Catch-Up; ABC”(以降、“ペアレンティング教育”と表記)を行うグループ22人と行わないグループ24人に分けました。
結果として、
①ペアレンティング教育を行ったグループの子どもでは、脳の社会認知に関連すると言われる領域(楔前部、帯状皮質、海馬)の母性に関連した刺激に対する反応が強くなっていました。
②また、上記の神経活動の大きさは、行動上の問題の少なさと関連していました。
つまり、親へのペアレンティング教育によって、子どもの神経活動を改善し、それは行動上の問題を減らす可能性がある、ということになります。
“ハイリスク”であると考えられる場合、親のペアレンティングを少しでも修正することで、子どもへの長期に渡る精神発達上の悪影響を軽減できる可能性を感じました。
#児童思春期精神医学 #ペアレンティング
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