治療馬 ペヨの話 (Youtubeビデオ)
フラン北部には馬が現れる病棟があります。
“緩和病棟”と言われる、死を間近にひかえた人たちの病棟です。
この特別なセラピストは、病棟の人々に大きな喜びを与えています。
ペヨは14歳の雄馬です。普通の馬として生活してきました。
他の馬と同じように走ったり、遊んだりするのが大好きです。
でも、他の馬たちとはちょっと違ったところがありました……
人間に対する優しさ、特に病める人たちへの優しさを持っていたのです。
彼は病棟や施設を訪れ、人々に微笑みをもたらします。それを最も必要とする人たちに。
ペヨはもちろん、牧場では馬らしく元気に走り回ります。しかし、病棟では全く穏やかになるのです。
誰もペヨに向かってどこに行きなさい、この部屋に入りなさいなどとは言いません。
ペヨは勝手に病棟の中を歩き回ります。
そして、ここぞと決めた人の病室へと、自分から入っていくのです。
ペヨには、自分を一番必要としている人のことが分かるようでした。
今日、ペヨが選んだのは間もなく亡くなろうとしている男性のところでした。
彼は絶望からほとんど口もきかなくなっていました。
彼は虚ろな瞳でペヨを見上げました。ペヨは彼を見つめて鼻を近づけました。
彼は涙を流してペヨに触れました。
言葉は必要ありませんでした。ペヨは彼に何かをもたらしたようでした。
……病棟で働く人達は言います。
“ペヨは特別なお医者さんだ”と。
Comments