統合失調症等の精神病性疾患は、幻覚や妄想を始めとする精神症状の特徴をみて診断されますが、画像でも構造上の傾向があります(診断に役立つほど特徴的なものではありません)。
今回は、前兆となる症状が認められる高リスクグループにおいて、さらに精神病を発症する場合にはどのような脳の形態的な傾向があるのか調べた研究をご紹介します。
MRI上の測定値と臨床的高リスクグループにおける精神病発症との関連
1,792人の高リスクグループと1,377人の健常者が研究の対象となりました(全体の平均年齢は21.1歳)。
結果としてまず、臨床的な高リスクグループ(精神病症状の前兆が認められるグループ)では、皮質が薄くなっており、特に紡錘状回、上側頭回、中心傍回と呼ばれる部分での菲薄化が精神病発症と関連していました。
皮質厚の低下は精神病を発症する高リスクの要素としてすでに指摘されており、その内容と矛盾のない結果でした。
多くの精神疾患は画像検査が必要ではなく、撮影しても大きな意味がありませんが、このような研究の積み重ねで臨床的に役立つ(治療方針に影響を与える)知識が得られるのかもしれません。
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