様々なストレスを受けても適応を維持あるいは、一時的な適応上の支障があっても早期に回復する力について、“レジリエンス(回復力)”という言葉が使われることがあります。
今回は、高齢者の共同住居において行われた心理学的に有効と言われる活動を通して、レジリエンスにどのような影響があったのか調べた研究をご紹介します。
回復力向上のためのグループ介入による高齢者住居生活での試験
アメリカの5箇所の施設に住む、89人の高齢者(60歳以上)が対象となりました。
ポジティブ心理学上有効と言われる様々な活動を1ヶ月行い、その後の変化と3ヶ月後の経過観察を行いました。
例えば、活動の中には“セイバリングsavoring(幸福の味わい)”という内容が含まれます。これはその日にあった良いことに焦点をあて、じっくり味わうように思い出すといったことがあり、「どんな良い出来事がありましたか?」「どんな出会いがありましたか?」「新しく得たことはありますか?」等と自分に問うていく方法が考えられます。
結果として、以下の内容が示されました。
①これらの活動を行うことによって、レジリエンス(回復力)の向上が認められました。
②同様に、ストレスの感じ方の軽減を認めました。
つまり、“高齢者においてポジティブな活動を行うと、回復力の向上やストレスの軽減に効果があるかもしれない”ということです。
特にレジリエンスについては、3ヶ月後の経過でも維持されており、高齢者においても心理学的にポジティブな活動を意識して取り入れる有効性が考えられました。
Comments