
魚油などに多く含まれるオメガ3脂肪酸が認知症の予防やうつに良い影響があることをお伝えしたことがあります。
今回は、感情のコントロールや衝動性等で問題が生じることの多い「境界性パーソナリティ障害」で、オメガ3脂肪酸がどのような影響を与えるのかを調べたメタアナリシス(複数の論文をまとめた研究)をご紹介します。
境界性パーソナリティ障害に対する海産オメガ3脂肪酸の追加
この分析は4つのランダム化比較試験(効果を比較するための比較的信頼性が高い試験)を含んでいて、137人分の資料を対象としています。
感情・衝動性・認知の領域を含んだ境界性パーソナリティ障害の尺度で、オメガ3脂肪酸の有無による違いを調べました。
結果、オメガ3脂肪酸を補った場合について以下の内容が示されました。
①全体的に境界性パーソナリティ障害の症状が、軽減されていました。(効果の尺度として0.54SDM:まあまあの効果)
②特に感情制御の問題や衝動的行動について軽減を認めていました。(感情制御で0.74SDM:かなり大きな効果、衝動的行動で0.45SDM:まあまあの効果)
つまり、“魚油をサプリメントとしてとることは、境界性パーソナリティ障害の感情や衝動性に対して効果を認める可能性が高い”と言えそうです。
EPAやDHAといったオメガ3脂肪酸はうつや認知能力に対してのみではなく、広く精神面で有用なサプリメントである可能性がありそうです。
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