断定的な口調のタイトルのせいで、抵抗を感じる方もいるかもしれません。しかし、内容は逸脱した行動の本来の意味を問うことの重要性を訴えた本です。
著者は犯罪者の更生に携わってきた臨床教育学者です。本書を読むと、著者が「臨床」、つまり現場で起こる現象をありのままに捉えることを非常に大切にしていることが分かります。
教育や「問題行動」の臨床に関わったことのある人なら、なんとなく感じていることを巧みに言葉にされているように感じます。
つまり、本当に「反省」せずに、自分や他者を傷つける行為を繰り返す人は、「反省」するのが、非常に上手い……ということです。
常に、行動の根底にある気持ちに向き合わずに、表面的な反省を求め続けられ、そういう要求に上手に対応することだけを学んできた人は、当然の結果として技術的な「反省」だけが上手くなり、行動の本当の意味から学ぼうとはしない……様々な事例をあげて、本当の気持ちを聞くことの重要性を訴えています。
親や教育者、支援者としてなんとなく感じてはいても、形だけの「反省」を求めることを止められない、ということがあります。他にどうして良いのか分からない、ということがあり得ます。
反省⇒望ましい行動への修正
という自分も信じきれていないのに、一見分かり易い図式にすがってしまう、そこにしか目の前の事態への救いを見出すことができないということをたくさん経験します。
勇気をもって堂々巡りになっている「反省」の連鎖から一度降りてみませんか?
この本はそんなふうに読者を誘っているような気がします。タイトルとは異なり、決して押し付けられるような感じのする内容ではありません。「反省」とは異なった方向への救いを伝えたい気持ちがじわじわと伝わってくる本です。
「反省しなさい!」「本当に悪いと思ってるの?」
そんな言い方が常套句になってしまっているごくありふれた日常……相手のことを真剣に考えるからこそ、懸命に「反省」を求めてしまう私たちに、人間の気持ちへ視線を向けるきっかけを与えてくれる本だと思います。