この本は題名の通りの本で余り中身の説明はいらないかも知れません。
以前にご紹介した『発達障害サポートマニュアル』は園・学校・家庭でのサポートをテーマとした具体的アドバイスに溢れた本でしたが、この本はその「お仕事版」と言える内容です。
著者は自身もADHDの症状に苦しまれてきて、現在は臨床心理士として教育とカウンセリングを中心に活動されています。
まずこの本の基本的な姿勢に関わる部分を「はじめに」から抜粋させてください。
「自分の特性に合った対処法を身につけ、ストレスを軽減する環境を整えることができれば、その人にある特性は障害ではなく個性の範疇になり、さらにはその特性をプラスに生かすこともできます。」
「特性はプラスにもなる」という記述は、どの発達障害の解説書でもみられる内容ですが、なかなかその具体的な方法が掴めないことが多いものです。この本では、全ての方に当てはまる方法は存在しないことを前提とした上で、ある方針を採用した時のメリット・デメリットを一つ一つ考える手助けをしてくれます。
それからスキルを身につけ、実力を出すための準備として「メタ認知」の重要性を示しています。
私の感覚としても、ほとんどの心理的関わりの成否にこの「メタ認知」が関わっているように思います。
この本の解説をお借りするなら、メタ認知とは「自分の思考、行動を客観的に把握し、認識し、適切な言動を選ぶこと」ということになります。
まずは自分の思考、行動について考えること。その考えるステップについて伴走してくれる本だと思います。