ジャンルとしては“自己啓発本”になると思われますが、認知行動療法やポジティブ心理学的要素を多く含んだ内容となっています。
本の冒頭では、有名人の方たちのこの本をすすめる言葉が羅列されており、やや辟易してしまったり、あやしい雰囲気を感じてしまう部分もあります。
上記のような雰囲気にめげずに読み進めてみると、冒頭のような過剰な感じがなくなり、全体として読者のことを思った誠実な文体で書かれていることが分かります。
特に“成功”を強く求めていなくも、(意識しているかどうかは別にして)多くの人は人間としてこの社会である程度上手くやりたい願望をもっているものだと思います。少なくとも私の場合は、ちょっと気を緩めると逸脱しそうになるので、この願望を強く意識しています。
どうしたら上手く行くんだろう?
そういう疑問にこの本はしっかり答えようとしてくれています。
決して成功者から訓示を行うような、上からの目線ではなく、著者も苦しんだ経験をまじえて同じ苦しむ者としての提案がなされています。書き方が優しく、思いやりに満ちているので、すんなり入ってくる感じがあります。
この本で提示されている「習慣」をあげさせてください。
第一の習慣 主体性を発揮する
第二の習慣 目的を持って始める
第三の習慣 重要事項を優先する
第四の習慣 WinWinを考える
第五の習慣 理解してから理解される
第六の習慣 相乗効果を発揮する
第七の習慣 刃を研ぐ
私の場合、この本で提案されている全てのことをしようとすると、ため息とともに「ムリだー、こんな完璧な人間になれない」と思ってしまいます。しかし、その一部だけでも気を付けてみると、自分がなんだか「良い人間」になったような気がして、その日一日が「良い日」になったような気がしました。
残念ながら、そのままの感覚は続かないのですが、読み返すことを続けると豊富な事例とともに一部は自分の習慣として、他の本で補完されながら定着したようにも感じます。
いわゆる“自己啓発”系にアレルギーのある方にもすすめられる、社会生活上大切にしたい「当たり前のこと」が体系的に書かれている本です。