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睡眠薬は認知症をまねくか?


睡眠薬を処方するとき、よく患者さんから“薬をのんで認知症になったりしませんか?”ときかれます。

睡眠薬の多くはベンゾジアゼピン系と言われる共通の化学的構造をもつ仲間か、その類似物質です。

今回は、ベンゾジアゼピン系薬剤が認知症の発症に関与するか調べた大きな調査に関して紹介します。

ベンゾジアゼピン系薬剤とその類似物質に関連するアルツハイマー病のリスク:コホート内ケース・コントロール研究

薬剤を服用していた場合、服用していなかった場合に比べて1.19倍アルツハイマー病を発症し易いという結果になりました。

また、影響が最も大きかったのは1年以上使用している場合で、1か月以内の使用では影響は出なかったとのことです。

1.19倍……これを大きいとみるか、それほど変わらないとみるかは微妙なところだと思います。論文中にも、この点はふれられていて、たとえ危険性の増大は些少でも、使用頻度が高い薬剤については、全人口で考えた時に大きな影響となり得ると指摘しています。

調査によって値は異なりますが、現在高齢者の9~32%がベンゾジアゼピン系薬剤を服用しており、発症の危険性の上昇がわずかでも、発症者数としては大きな差異になり得ます。

疫学的視点からも注意が必要な薬剤ですが、特に高齢の方への睡眠薬の処方は期間を限って最低限にするべきであると改めて考えさせられました。

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