瞑想の習慣もなく、仏教文化にも造詣の深くない私ですが、マインドフルネスからは多くのものが学べそうな気がして、ついこのテーマに関する本を読んでしまいます。
何度か、マインドフルネスの定義には触れたことがありますが、ここでも本文で述べられている内容を抜粋させてください。
「マインドフルネスとは、瞑想習慣であるとともに、覚醒した瞑想とでもいうべき状態をいう。それは集中力、感情のコントロールなど、トップとして必要な資質全般にわたって影響を及ぼす」
また、医療との関連について以下のように触れられています。
「医療の世界は、マサチューセッツ大学医療センターの『マインドフルネス・ストレス低減プログラム』によって最初に導入がなされ、今では世界中の二〇〇を超える医療センターで実施されている」
以上のような一般的な解説も所々でされていはいるのですが、この本で著者が伝えようとしているのは、「知識」ではなく、「知恵」であると思われます。
この「知恵」について、本文中に「それは合理性、客観性を超えた知の形だ。何かを知っていることと、それを身につけていることは別である……(中略)……知恵とは、自分の内面を見つめ、自己認識を養うことから生まれる」と書かれています。
このマインドフルな知能としての「知恵」を身につけることが、マインドフルネスを実践する目的の一つであると思われます。
この本の中の鍵となる言葉や考えを挙げるために、目次を抜粋します。
第1章 念(=マインドフルネス)
第2章 初心
第3章 本当の自分
第4章 絆
第5章 聴く力
第6章 受容
第7章 感謝
第8章 義理・人情・責任
以上のように東洋的概念についての解説が多く、私たち日本人にとっては多くの点で共感できる内容になっています。
私自身はマインドフルネスをセラピーの一つの形態というよりは、多くの精神療法や生活の基盤となる姿勢の一つだと捉えているので、本文中に挙げられている「敬意を込めた注目と傾聴」、「変えることのできない物事の受容」等マインドフルネスから多くの態度が導き出される点にも共感ができました。
本全体が東洋的概念を解き明かしながら、「人生の目的を知る授業」をテーマとしており、マインドフルネスの一般的な知識を得たい方というよりは、その本質に触れたい、雰囲気も含めて味わいたいという方におすすめであると思いました。