
以前にもご紹介したことのある作者のKindle版まんがエッセイです。
作者は双極性障害の診断を受けており、未診断ですが、発達障害の傾向を自覚されている方です。
病状やこだわりに関する、今まで理解しにくかった感覚や手ごたえのようなものが、巧みな例えで腑に落ちるような気がします。
そして、何よりもマンガとして面白いです。多分、声を上げて笑うような面白さではないのですが、自己や他者に関する観察が鋭くて、「ああ、そういうことなのか」と深く頷かせるような説得力があり、最後まで飽きさせません。
中でも大切だと思った作者の母が娘のために行ったという「母の尽力」を抜き書きさせてください。
尽力その1:普及し始めて間もなかったと思われるパソコンのエクセルで服薬履歴を作成し、通院の時の資料とした。
尽力その2:薬剤への過敏性を本人の代わりに主治医に繰り返し説明した。
尽力その3:インターネットで向精神薬の評判をチェックし、副作用などについて詳しく把握した。
尽力その4:娘を良く観察して、効果のあった薬を特定し、そこから診断を検討した。
上記のようなことを、大事な娘のためとはいえ、できてしまうお母さんなので、「やればできるのに何でやらないの!?」という調子の悪い娘にとってつらい言葉も自然に出てしまうことがあったようです。
まんがの中には、母子の葛藤も描かれていて、家族関係を含めた回復への大変な苦労を感じさせます。
(「完治」を求めることはごく自然なことのようにも思いましたが、)病気といかにつき合っていくかということの重要性と家族の存在の重さを感じる内容でした。