うつが消える食事 宮島賢也著

玄米食と果実・野菜中心、そして小食をすすめる宮島式の食事療法について書かれています。
著者は自分自身も7年間うつ病で苦しんだ経験のある精神科医で、この食事による治療法を実践し、自分自身が救われたことを述べています。
特に、何度も繰り返される「ぼくは薬では自分のうつも、患者さんのうつも治すことができなかった」という述懐は印象的です。
これは、精神科医の一部が持っている実感であるかもしれませんが、
それだからと言って、「今を救う」という薬物治療の重要性がなくなるわけではないような気もします。どうもこの点に過大な期待を持ってしまうと薬との関わりもおかしくなってしまうようです。
この本では、まず食事を変えてみませんか? とやさしく提案しています。
決して、最初から全部白米を玄米に変えなさいとか、肉は禁止などと厳しいルールを設けるのではなく、望ましい習慣を部分的にでも、まず2週間試してみませんか? と勧めています。
ここで述べられている栄養療法は現在一般的にすすめられている食事療法とは異なりますし、一度に全て実践するのはかなりの困難を伴うと思われます。
しかし、所々で述べられている著者の苦しい経験に裏打ちされた言葉には説得力があり、せめて少しでも腸や体に楽をさせてあげようと、小食をこころがけるだけでもしたくなります。
全部を実践するという心構えではなくても、肩の力を抜きながら読んで、“玄米ってやっぱりいいのか?”等食生活の望ましい選択を広げるきっかけになり得る本だと思いました。