
自身がアスペルガー症候群である医師によるマンガを交えた解説書です。
特性(特徴のある傾向)が一つずつ、見開きの2ページでマンガと文章を用いて解説されており、読みやすい構造をとっています。
本書の中でも解説されていますが、「構造化」は発達障害の支援策の中でも重要な部分の一つで、特性が目立たない人にとっても、認知を助けてくれる有効な方法です。
このように情報の単位が小さくまとめられ、視覚的に分かりやすい本書は、当事者の方にとっても、援助者にとっても特性に関する理解を大いに助けてくれる内容となっています。
コウジという男性を主人公にして、失敗を繰り返しながら、最終的には自分の特性に関する理解を深め、家庭や仕事場での適応を改善していく過程が描かれています。
誰もがこの主人公のように理解のある家庭や仕事場に恵まれているわけではありませんが、この本で示されているように特性の理解をすれば、こういう「良いストーリー」が現実の世界でも描けるかもしれない、そういう気持ちにさせてくれる温かみのある解説書です。