top of page
もりさわメンタルクリニック

心臓発作後の統合失調症患者における治療の有効性について


精神疾患の患者さんで時々何の前触れもなく突然亡くなってしまう方がいます。診断書を書くときにも、急激に循環不全を来した経過と危険因子などから広い意味での「心臓発作」を死因として想定せざるを得ないことがあります。

統合失調症の患者さんに突然死が多いことは以前から指摘されていて、その原因として自己ケア能力の低下や薬剤の副作用をはじめ、様々な要因が考えられてきました。

今回は、統合失調症において、一度心筋梗塞の発作を起こした後、心臓を保護する治療をした時に、通常通りの生命予後の改善効果が得られるのかを調べた研究です。

統合失調症患者の死亡率と心筋梗塞後の循環器治療の関連

デンマーク全土10万人の心筋梗塞患者(そのうち700人程度が統合失調症患者)データが集められました。最も死亡率が高かったのは治療を受けていない統合失調症患者のグループで、治療を受けた一般人口に比較して9倍近く危険率が高くなっていました。

また、治療を受けた統合失調症患者の危険率も一般人口と比較すると2倍近くと高くなっており、何らかの治療に対する抵抗性を示していました。

しかし、治療自体は無効ではなく、統合失調症の場合でも抗血栓薬、β-ブロッカーなどの循環器を保護する治療を予防的に行うと、大きく死亡率を改善させることが分かりました。

この研究結果により、統合失調症においても一度心臓発作を経験した後に予防的治療を行えば大きくその後の寿命を改善することが分かり、治療の意義を確かめられたことになります。

精神疾患の患者さんでは、身体的にも大きなリスクを抱えていることが多く、より慎重に合併する身体疾患について観察する必要があると思われました。

閲覧数:25回0件のコメント

最新記事

すべて表示
bottom of page