先行する研究でコルチゾールという主要なホルモン(副腎皮質から分泌される糖をはじめとする栄養素の代謝に必須のホルモン。ストレスに反応して分泌量が増すことも知られている)の高値と認知症との関連が指摘されてきました。
今回は中年期のコルチゾールの値が症状としては現れない認知能力低下や脳体積など画像でわかる検査値とどのように関連しているかを調査した研究です。
血中のコルチゾールと認知能力と脳の構造的検査値の関係
平均年齢48.5歳の2000人以上の男女についてMRI画像と認知能力(記憶、抽象的思考力、注意力、視覚認知、遂行能力)が調べられました。
結果として血液のコルチゾールのレベルが高いほど認知能力が低く、脳の体積が減少していることが分かりました。そして、この傾向は特に女性で目立ちました。
なぜ、このようなことが起こるのか、因果関係については明らかではありませんが、他の主要な認知症の関連要素を調整してもこのホルモンレベルは独立して影響を与えているとの見解が得られました。
今も遺伝子検査でかかり易い病気がわかる時代にはなっていますが、中年世代の血液検査で後年の認知能力低下が予測できるようになるかもしれないと想像させる内容でした。