うつ病に腸の炎症性疾患(潰瘍性大腸炎とクローン病)が合併しやすいことは指摘されていました。
しかし、その仕組みは分かっておらず、まだ実際の関連性についてはまだ研究の蓄積が必要な段階です。
今回はうつ病にかかった人はどれくらい腸の炎症性疾患にかかり易いのか、または抗うつ薬はその発症にどのような影響を与えるのかを調査した研究をご紹介します。
うつ病は腸の炎症性疾患のリスクを増大させるが、それは抗うつ薬による治療で軽減できるかもしれない
カナダの健康増進のための機関で集められたうつに罹った患者さん40万人以上のデータが調査されました。
結果として、うつ病と診断された人は通常の2倍以上潰瘍性大腸炎などの炎症性疾患にかかり易いことがわかりました。
さらにそれは抗うつ薬の投与でかなり抑えられることが示されました。もう少し具体的にはSSRI(抗うつ薬の一種で、比較的副作用の少ないことから頻用されている)や三環系抗うつ薬はクローン病に、ミルタザピンやSNRI・SSRI・セロトニン調整薬(serotonin modulators)・三環系抗うつ薬は潰瘍性大腸炎に効果が高いという結果が得られました。
炎症性疾患とうつ病との関連はたびたび指摘されており、こうした研究から、うつ病の原因や新しい治療法のヒントが見つかることもあり得ると期待させる内容でした。