伴侶を亡くされた後、特に持病もない方が時を経ずして亡くなることがあります。
以前の研究で、この悲哀による死(Grief Death)について、その機序が推定されています。
悲しみを含めたうつ症状は身体の炎症をひき起こすことが知られており、これが心臓に侵害的に作用するのではないかと言われています。
今日は配偶者を亡くした後の参加者について、そのうつの程度と炎症マーカー(炎症の指標となる体内物質)の関連を調べた研究を紹介します。
配偶者を亡くした後の悲しみ、うつと炎症との関連
最近、配偶者を亡くされた方においてうつの程度とインターフェロンなどの炎症があるときに体内で増加する物質(炎症マーカー)との関連が調べられました。
結果として、うつや悲しみの程度が大きいほど、炎症マーカーの数値も高いことが示されました。
上記のようなことが言えたからといって、即座に炎症マーカーの数値からうつの程度を客観的に示すことができるわけではないと思われますが、少しでもうつ症状の証明への糸口になりうる研究であるように思われました。
今回の研究は、パートナーを亡くされて悲しみの中にある方たちを研究の対象としており、必要があったとは言え、非常に厳しい対象を選択をしているように感じられました。しかし、精神疾患を客観的に示す指標の必要性は高く、このような研究が多くの患者さんたちの利益につながることが望まれます。