コンピューターによって提供される認知療法の研究は多く、有効性の証拠が集まっています。
今回は物質依存(薬物などへの依存症)に対して認知療法がどのように効果を上げるのか、特にコンピューターによる場合と人による場合との比較を含んだ研究をご紹介します。
コンピューターによる認知療法と医師による認知療法のランダム化臨床試験(物質依存の外来治療における比較)
137人の外来患者を通常の治療、医師による認知療法、コンピューターによる認知療法のグループに振り分けました。
まず、医師による認知療法では脱落が一番多くみられました。さらに、長期的な効果を比較したときには コンピューターによる認知療法>医師による認知療法>通常の治療
となっており、少なくとも今回の結果ではコンピューターによる認知療法の方が有効でした。
そして、付随する調査として患者さんの認知療法に関する知識を調べたところ、コンピューターによる認知療法のほうが、認知に関する考え方が良く理解されていました。
理由までは分かりませんが、今回の調査では、全体的に人による認知療法はコンピューターによる認知療法に劣る結果となっています。
以前に紹介した論文の中にもみられましたが、結果そのものよりも人が行う認知療法で脱落者が多いのも気になります。効果的な心理療法でも、やり方によっては脱落をまねく可能性があることを念頭に置く必要を感じました。