
統合失調症で同様の症状を示す場合でも、薬剤が良く効いて症状が速やかに改善される場合と、薬の効果が認められず症状が継続する場合があります。
このような場合には、何種類が別の薬剤への変更や追加を試みるのですが、やはり効果が限定的になることも少なくありません。
今回取り上げる論文は、薬剤への反応を遺伝子変異の視点から調べたものです。
中国の統合失調症患者における短期的な抗精神病薬への効果、シナプス(神経の接続部位)関連遺伝子の変異による影響
3000人以上の統合失調症患者についてランダム化(無作為に振り分けられた)臨床試験が行われました。
薬剤への反応が乏しかった場合においては、2つの遺伝子変異のセットが見出されました。
そして、これらの遺伝子変異は最近注目されている神経伝達物質であるグルタミン酸作動系を含むものでした。
今回の論文は、統合失調症の治療の経過に大きく影響する薬物への抵抗性が何によってもたらされるのか、手がかりになりそうな内容でした。今後、このような研究が遺伝情報を参考にした薬剤選択等の基礎になることが期待されます。