不安障害は児童・思春期において最も診断されることの多い障害の一つですが、その心理療法はどういったものが有効なのか良く分かっていません。
今回は、子どもの「不安障害」に焦点をあてて、今までに行われた様々な研究を合わせて、心理療法の比較を行った研究をご紹介します。
児童・思春期における急性不安障害の治療、心理療法の様々な種類と忍容性(継続性)について
101の調査について検討され、6000人以上の参加者と11種類の心理療法についてのデータが得られました。
概ねどの心理療法でも、その治療が行われていない状態よりは不安の状態が改善していました。しかし、特に集団認知行動療法では治療の脱落(途中でやめてしまうこと)も少なく、効果も他の心理療法を上回っていました。
この結果を受けて、この論文では児童・思春期の不安障害に対しては、まず集団認知行動療法が望ましい心理療法であると示唆しています。
今まで取り上げたどの論文でも認知療法は伝統的な(支持や共感を中心とする)心理療法に比べると、脱落する割合が高い点が問題でしたが、集団で行うとその点が大きく改善されるということかもしれません。
不安障害に対する標準的な治療法として確立されるためには、まだ確認が必要ですが、施設によっては望ましい治療の選択肢として現時点でも適用可能であると思われました。