うつ病を治療していたら、躁の症状が出てきて、後から躁うつ病だと分かるというパターンは多くみられます。
特に抗うつ薬を使用していたら、躁状態になってしまい、生活への影響がうつの時よりも強くなってしまう、ということも経験します。
これらの現象を「躁転」と言って、うつ病治療の中でも起こって欲しくない経過の一つです。
今回は、この「躁転」を予測する方法が見つかったかもしれないという論文です。
うつ病から躁病への移行を血清中の尿酸値で予測する
55人の躁転者(論文中ではconverter)と195人の非躁転者(non-donvereter)を含む250人についてのデータが調べられました。
躁への転換に関係していそうなバイオマーカー(検査値)が存在しないか、過去の資料を調べたところ、尿酸値の高いうつ病患者は後に躁転する可能性が高いことが示唆されました。
尿酸値というと、メタボの指標にもなり、一般的にも馴染みのある検査項目であると思われますが、今後精神科領域でも重要性を増すかもしれません。
うつ病治療における抗うつ薬の用量や気分安定薬を追加するかなどの意思決定に影響するバイオマーカーとなる可能性があるように思われました。