認知行動療法とともにうつ病に関する効果が確認されている心理療法である対人関係療法をDVDで視覚的に学べます。
まず、対人関係の特徴は、症状に影響している対人関係を捉え、アプローチしていく点です。実際にこの視点から症状を捉えてみると、多くの症状が対人問題に影響を受けていると気づくことが多い気がします。
一つの精神症状には様々な要因があり、一つでくくれない場合が多い(多因子モデル)と思われますが、最もアプローチしやすく、改善の糸口になりやすい側面として対人関係を選択するのが対人関係療法と考えられます。
多くの論文で認知行動療法の脱落率が受容と共感を中心とする心理療法より、脱落率が高くなっていますが、一つには認知行動療法が人の認知(考え方)に直接アプローチをとることが影響している気がします。
一方、対人関係療法は対人関係に焦点をあてており、著者の水島先生も言われているように「温かみのある」印象を与えやすいカウンセリング手法となっています。このような点から、正しく実践した場合には、クライアントの方との関係性も良好なものになりやすく脱落も少ない気がします。
このDVDは入門的な内容を、実際のカウンセリング場面で示してあり、対人関係療法の具体的なイメージがつかみやすくできています。
特に演じられているクラインアント役の方が上手で、病態も真に迫っていて、臨場感があります。
対人関係療法に興味をもたれた方で、本で大まかな知識は得たけれど、実際どんなふうにすすめられるのかイメージがつかめない場合に特におすすめです。