これまで、少数の研究で親の有機物質への暴露と子どもの自閉症(Autism)が関連しているのではないかと示されていました。
今回の論文は環境汚染物質として知られている、殺虫剤DDTの分解物(DDE)とポリ塩化ビフェニル(PCB)への暴露がどの程度子どもの自閉症に影響するかを調べた研究です。
母体の殺虫剤濃度と子供の自閉症との関連
自閉症を調べた大規模な調査で、ケースコントロール研究(または患者対照研究)と言われる手法を用い、778組の健常者と自閉症患児の親の比較がなされました。
汚染物質のうちPCBでは差が生じなかったものの、DDEの方ではかなり大きな差が生じていました。母体の妊娠初期におけるDDE血清濃度が一定レベルを超えると2倍以上の確率まで、子どもの自閉症発症率(知的障害を伴うもの)が上昇することが示されました。
まだ、自閉症の神経発達上の障害が何によってもたらされるのか、ほとんど不明の状態ですが、このような研究で病因解明への手がかりが得られ、予防や治療につながることが望まれます。