がん診断後の精神的援助の重要性については以前から指摘されており、それを専門的に行う精神医学の領域をサイコオンコロジー(精神腫瘍学)と言います。
ただ、実際にがんと診断された後の精神的リスクに関する信頼性の高い調査は少なく、今回紹介する研究は、そのような資料として価値の高いものと思われます。
イギリスにおけるがん診断後の自殺リスク
1995年から2015年までの500万人近いがんと診断された方たちが調査の対象となりました。
結果として、がん診断後は20%の自殺率増加を認め、特に診断後6か月間のリスクが高いことが分かりました。
がんの種別としては、中皮腫(胸膜などの膜由来のまれながん。アスベストの吸引と関連すると言われている)、すい臓がん、食道がん、肺がんの順に危険度が高くなっていました。
がん診断後、どのがんにおいても長期にわたる精神的サポートが重要であることは変わりありませんが、上記のデータからは、特に診断後初期の6か月、見つかった時点で進行していることが多いすい臓がん等について注意が必要と考えられました。