認知症について様々な面から因果関係が探られています。どれも、影響はありそうだけど決め手には欠けるような気がします。
疾患の原因について‘多因子モデル’というように、一つの大きな原因が分からず、多くの影響が積み重なって起こってくると説明されることがあります。
今回は歩く速度が認知能力と関係するのではないかという論文です。
歩く速度、認知機能、認知症リスクの関連
英国4000人程度の参加者10年以上のデータが調査されました。
まず、調査開始当初の時点で歩く速度の速いグループの人たちがもっとも認知症になりにくいことが分かりました(ハザード比と言われる指標で0.36)。また、経過を追ってみると歩く速度の低下した人たちが認知症リスクが高くなっていました。
歩く速度と認知症リスクの関連は、全体的な活動性が高ければ脳機能の衰退も緩徐になるのではないかと思われるので、ありそうな気がします。しかし、実際には運動機能との間に別の因果関係があるのかもしれません。
認知症発症のしくみの解明に運動の方面から貢献する内容であると思われました。